人には向き、不向きがある

その人は、開発以外興味がないし、興味を持とうともしない。
まあそれは仕方ないか。開発者なんだから。
 

自社コンテンツの開発など、自分のやりたいと言っていた面白い仕事をやっていても、あくまでもそれは仕事であって、自分自身の成長についても興味はないと言う。
人ともあまり話さない。
ランチの時もこちらから話しかけないと全然会話をしようとしない。
定時には必ず帰るし、プライベートを大事にするけれど、いつも休日何をしているのかと聞けば、別にテレビを見ているだけで引きこもっているだけだという。
かといってSNS等で交流しているのかと思えば、何もやっていないと言うし、リアルでもネットでも発信を全然しない。
自分からしてみれば一体何が楽しいのだろうかとさえ思ってしまう。

私は彼ともうかれこれ12、3年の付き合いになるので、だめだと思っていてもやたらとおせっかいになってしまいがちで、今年40になる彼に、そろそろ誰かいい人が見つかってもいいんじゃないかと、女性を紹介したり、技術関係の執筆の話がきたときには、これは一つの成長につながる新たなチャンスかもしれないなと話を振ったりもしたけれど、
人と話すのが面倒なのか、紹介は何度も拒否されるし、執筆の件もはじめは考えるまでもなく拒否で、なんか自分を高めるとかそういうこととは全く無縁で、この人は今後の人生をどんな感じで考えているのだろうか、と、いつも何かしていないと気が済まない自分としては疑問だらけになってしまった。

と、色々思うことがありながら、彼の成果物をチェックしていたわけですが、それを見ながら、なんだか頭がリセットされて、ああ、自分が馬鹿だったんだなーとさえ思えてしまった。

彼が作るプログラムやドキュメントは、完璧だ。
絶対にこれは客の期待以上のものだ。
その成果物を見ながら今までしてきたことが頭をよぎって、なんだか言い表せない感情が湧いてきて涙腺が緩んできた。

作っているものにもよるが、基本的に開発をしているときは楽しそうだ。
自社コンテンツを作っているときも、私とああしようこうしようと話しながら、実際作ってみましたと制作物を出してくる彼の顔は明らかに嬉しそうだ。
それが全ての答えなんだろう。

強制こそしてないものの、自分の固定概念にはめてしまってたことを反省しなければならないと思った。
一緒に苦しみを分け合ってきた戦友だからこそ、彼には幸せになってほしいとあれこれ考えすぎて、空回りしてしまっていた。
干渉しないという選択肢を持たなかったことを反省している。
ストレスとかないのかと聞いてもないと言うし、それなら、それでいいというだけではないか。

人には向き、不向きがある。
自分にだってたくさんある。
不向きなものに対して、できる限り立ち向かって、克服して、それを強みにするという考え方もあるけれど、それはわざわざ克服しなければならないものなのだろうか?
避けて通って何が悪い。何をもって成長なのか、考え直したほうが良いだろう。
私の負けず嫌いなこの性格を、その人には鼻で笑ってほしい。

 
その人は、開発以外興味がないし、興味を持とうともしない。
まあそれは仕方ないか。開発者なんだから。
あなたは素晴らしい開発者だ。

 
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